2023 レナイシュ・デ・ジロ / オスカル・メストレ

ラズベリーやイチゴのジューシーな果実味に、柔らかなタンニン。
地中海の風を感じる、エレガントなミディアムボディ。

外観はクリーンな淡いチェリー色。フレッシュなラズベリーやイチゴの赤系果実の香りに、ほんのりとスパイスも加わり、地中海の風の爽やかさを感じます。口に含むと、イチゴチョコレートのような甘酸っぱいジューシーな果実味が口中に広がり、ミネラル、酸とのバランスが素晴らしいです。最後に程よいタンニンを感じます。

畑の個性

標高300m、オーガニック栽培の畑で樹齢50年以上の古樹から生まれるレナイシュ・デ・ジロは、ベルニア山脈の麓という特別なロケーションがワインに深い個性を与えています。

山間に位置する畑は、水分の少ない浅く痩せた土壌が広がり、岩の隙間に根を伸ばすブドウは自然と実が小さく凝縮。これはプロの間でも評価される”果実の密度”につながります。さらに、渓谷部と比べて昼夜の寒暖差が大きいため、果皮の色づきが良く、香りや酸にも立体感が生まれます。

標高の高さに加えて、地中海から直線距離で4kmという近さも大きなポイント。
地中海から吹き上げる涼しい海風が日中の気温上昇を抑え、ブドウの光合成を穏やかに整えることで、エレガントな酸と清涼感のある味わいが生まれます。

土着品種「ジロ」について

フィロキセラ禍では一時は絶滅寸前まで追い込まれた、非常に希少な黒ブドウ品種が「ジロ（Giró）」です。

その起源は地中海のマジョルカ島。1609年のアラブ人追放後、フェリペ3世によって再定住者としてこの地域へ移り住んだマジョルカ人たちが、ジロを持ち込んだと伝えられています。

現在の栽培地は、マジョルカ島、スペイン・アリカンテ北部、そしてイタリア・サルデーニャ島と、ごく限られています。

ジロは暖かい気候と、海に近い湿度を必要とするデリケートな品種。ワインの色調は淡めで、味わいは繊細かつエレガント。
香りには赤い果実を中心に、土壌によっては熟した果実、鉄分、生肉のようなニュアンスが表れます。また、酸が高く熟成にも向きます。

海と山に囲まれた地中海の土地らしい、軽やかさと深みが共存する味わいを生み出す、貴重な品種です。

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生産者オスカル・メストレについて