スペインの”テロワール”を学ぶ
スペインワイン・テロワール・ディプロマ・コース 2025 by グランデス・パゴス・デ・エスパーニャを修了して―
ワインを扱う仕事をしていると、しばしば「このワインの個性はどこから来るのだろう」と考える瞬間があります。
私は、品種や醸造方法はもちろんですが、最終的にワインを決定づけるのはその「土地」だと思います。
その土地の歴史、土壌、風、日照、そしてそこに生きる人たちの伝統や感性。
それらが織りなす”テロワール”の理解を深めたいと思い、
このたび、スペインの名門団体 Grandes Pagos de España(グランデス・パゴス・デ・エスパーニャ)が主催する
「スペインワイン・テロワール・ディプロマ・コース」を受講し、無事修了証をいただきました。
グランデス・パゴス・デ・エスパーニャとは
Grandes Pagos de España(略称GPE)は、2000年に設立されたスペイン全土で「単一畑=パゴ(Pago)」の高品質ワインを造る31社の優良なワイナリーで構成される非営利団体。
パゴワインのユニークな個性を守り、スペインのぶどう栽培の精神を維持・促進し、それぞれの畑の土壌・自然・気候に調和した卓越したワインを生産することを目的としています。
彼らにとってテロワールとは、単なる地質や気候ではなく、文化、歴史、そしてその土地に根ざした人々の生き方までを含む概念。
その哲学を体系的に学べるのが、このディプロマコースです。
コース内容と学びの時間
今回の講座は、明比淑子先生(スペインワインライター歴40年、スペインワインのプロモーションエージェント会社を運営)による東京開催。
このコースは、アメリカやイギリス、メキシコでも開催されているそうです。
日本でのプログラムの日程は2025年10月25日(土)、26日(日)の2日間
時間は10:30~17:30 (講義+試飲/10時間+2日目は試験1時間)
と、最初この日程を見た時は少し過酷なように思いましたが
終わってみれば充実の内容であっという間に時間が過ぎていました。
テーマは、スペインワインを、土壌、気候、
スペイン全土をワイン産地として8地域に分け、各地域の歴史、
地域別情報と、その実例としてのGPEに加盟するワイナリー31社の情報および各社のテロワールを表現したワインの試飲も行います。
試飲ワインは以下です。(著名醸造家のワイナリーやビノ・デ・パゴを含む高品質ワイン生産者31社から各1本)
アアルトAALTO
アストビサ ASTOBIZA
アバディア・レトゥエルタ ABADÍA RETUERTA
ルベアール ALVEAR
アルタ・アレーリャ ALTA ALELLA
アロンソ・デル・イエロ ALONSO DEL YERRO
エンリケ・メンドーサ ENRIQUE MENDOZA
カン・ラフォルス・デルス・カウス CAN RÀFORS DELS CAUS
クロス・ダゴン CLOS D'AGON
コルティホ・ロス・アギラレス CORTIJO LOS AGUILARES
セカスティーリャ SECASTILLA
セルボレス CERVOLES
デエサ・デル・カリサル DEHESA DEL CARRIZAL
バルデスピノ VALDESPINO
バレンシソ VALENCISO
パゴ・デ・バリェガルシア PAGO DE VALLEGARCÍA
パラシオ・ケマド PALACIO QUEMADO
フィンカ・エレス FINCA ÉLEZ
フィンカ・サンドバル FINCA SANDOVAL
フィンカ・バルピエドラ FINCA VALPIEDRA
フィンカ・モンクロア FINCA MONCLOA
フィンカ・モンテペドロソ FINCA MONTEPEDROSO
フエンテス・デル・シレンシオ FUENTES DEL SILENCIO
ベロンドラデ BELONDRADE
ボデガ・ヌマンシア BODEGA NUMANTHIA
ボデガス・フィリャボア BODEGAS FILLABOA
マス・ドイス MAS DOIX
マルケス・デ・グリニョン・ファミリー・エステイト MARQUÉS DE GRIÑÓN FAM. EST.
ムスティギーリョ MUSTIGUILLO
リバス RIBAS
ロサダ LOSADA
試飲では、たとえばラ・マンチャの乾いた風を感じさせる果実感、
ガリシアの花崗岩土壌や湿潤な気候がもたらす繊細な酸、
リベラ・デル・ドゥエロの厳しい寒暖差が生む骨格の強さなど、
スペイン各地のそれぞれ違ったテロワールを学ぶ貴重な体験でした。
”土地が語るワイン”を伝えるということ
このコースを通して改めて感じたのは、ワインは“品種”や”醸造方法・技術”だけでなく“土地の表現”であるということ。
一言では説明が難しい、スペインワインの魅力。
それは、単に「多様性」という言葉では語り尽くせない奥深さにあります。
今回のディプロマコースを通して、各地の地形・気候・歴史、そしてそれらがワインにどのように反映されているのかを体系的に学ぶことができました。
スペインという国のスケールの大きさと、土地ごとに息づく個性の強さに、改めて感動しました。
SARA CORPORATIONとして日々扱っているワインも、
その背景にある土地と造り手の物語をお客様に届けることが使命だと再確認しました。
今後は、今回学んだテロワールの視点を活かし、より深く、より丁寧にスペインワインの魅力を伝えていきたいと思います。

このたび、「スペインワイン・テロワール・ディプロマ・コース 2025 by グランデス・パゴス・デ・エスパーニャ」の修了証をいただきました。
(講座修了日:2025年10月26日/会場:東京)
この貴重な学びの機会をくださった明比先生、
そしてスペインの造り手の皆さまに心より感謝いたします。
ワインが土地と人を繋ぐ存在であることを改めて実感した日でした。