ASTIAZARAN SAGARDOA

アスティアサラン・サガルドア

スペイン / バスク州

1880年から続く、バスクの小さなシドレリア

スペイン北部、バスク州ギプスコア県。美食の街サン・セバスティアンのすぐ南にある、緑豊かな村スビエタにアスティアサラン・サガルドアのシドレリア(シードル醸造所)があります。アスティアサランはこの地にて1880年創業。4代にわたり伝統のシードラを造っています。無農薬栽培のリンゴ100%から造る、保存料無添加のバスク産ナチュラルシードラです。

伝統を受け継ぐ、4代目の兄弟

現在、その伝統を受け継ぐのは4代目のジョン氏とミケル氏兄弟。二人は11歳離れた兄弟で、この「11」という数字は、彼らを代表するナチュラル・シードラ「11:11」の名前にも込められています。

兄のジョン氏は父からシードラ造りのすべてを学び、伝統的な製法を受け継いできました。一方で、昔ながらのスタイルをそのまま繰り返すだけではなく、新しいシードラ造りにも取り組んでいます。

バスクの暮らしに根付く"シードラ" 

バスク語でシードラを意味する「Sagardoa(サガルドア)」。

バスクでは古くからリンゴが栽培され、その果汁を発酵させたシードラは、人々の暮らしに欠かせない飲み物として親しまれてきました。その歴史は非常に古く、11世紀にはすでにバスクのリンゴ栽培に関する記録が残されています。

15〜16世紀にはシードラ造りが最盛期を迎え、北大西洋へ鯨やタラを求めて航海したバスクの船乗りたちも、長い航海のため大量のシードラを船に積み込みました。その需要を支えるため、大型の圧搾機「tolare(トラレ)」を備えた農家が各地に発達します。

その後、生産量は減少しますが、サン・セバスティアンのあるギプスコア県を中心に伝統は受け継がれ、20世紀後半からシードラ文化が再び活性化。現在もバスクの暮らしに深く根付いています。

12年以上かけて選び抜いた6種類のリンゴ

バスク地方には、シードラ造りに用いられる100種類を超えるリンゴ品種が存在します。酸味、苦味、タンニン、糖度など、異なる特徴を持つリンゴを組み合わせることが、バスクのシードラ造りにおける重要な要素です。
アスティアサランでは、この伝統的なブレンドの考え方をもとに、12年以上かけて独自に選び抜いた6品種を使用。バスク、ノルマンディー、ガリシアのリンゴをブレンドします。

6品種のうち公表されているのは、フランス産のKermerrienとPetit Jaune。Kermerrienは甘味と苦味を併せ持ち、Petit Jauneは酸を特徴とする品種です。残る4品種とそのブレンド比率は非公開。Astiazaran家に受け継がれる、門外不出のファミリーレシピです。

果実感とボディを引き出す、アスティアサラン独自の「醸し」

収穫したリンゴを破砕・圧搾した後、アスティアサランではここからさらにひと手間を加え、搾った果汁をリンゴの果肉や果皮に戻し、8〜12時間の醸し(マセレーション)を行います。この工程によってリンゴからより多くの成分を引き出し、果実感が豊かで、しっかりとしたボディを持つシードラに仕上げるのがアスティアサランのスタイルです。
ただし、毎年必ず行うわけではありません。リンゴが十分に熟した年には醸しを行わず、その年の果実の状態を見極めながら醸造方法を調整しています。
父から受け継いだ経験をもとに、決められたレシピを毎年繰り返すのではなく、リンゴの成熟度に合わせて造りを変えることも、アスティアサランのシードラ造りの特徴です。

樽から楽しむ、バスクの「Txotx」文化

バスクのシドレリアを訪れると聞こえてくる「Txotx(チョッチ)!」の掛け声。これは、樽からシードラを直接グラスに注いで楽しむ、バスクならではの文化です。

グラスには一度にたくさん注がず、指一本分ほどの少量を。樽から勢いよく流れ出るシードラを少し離れた位置で受け、空気を含ませることで香りと味わいを引き出します。

注いだシードラは、その場ですぐに飲みます。少量ずつ、何度も樽へ足を運びながら、料理や会話とともに楽しむ。それがバスクのシードラの楽しみ方です。

  • トルティージャ

  • タラのフリット

  • 地元で獲れる生のクルミ、チーズ、メンブリージョ